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4月20日に原油価格がマイナスになるというニュースが流れ、世間を騒がせました。
新型コロナウイルスの影響により原油の需要が減ったことからこうした事態が起きたと言われていますが、マイナス価格ということはどういうことなのか。名前は聞いたことがあるけど、原油ってそもそも何?というところなど、ちょっとした疑問に迫っていこうと思います。
原油って何?
原油とは油田から採掘したままの状態で、生成されていない石油のことをいいます。採掘後、ガス、水分、異物などを大まかに除去したものが原油です。80%以上の炭素で組成されているため、色はほぼ真っ黒です。<Wikipedia"原油"項一部抜粋>
ちなみに原油の源は、大昔に海や湖で繁殖したプランクトンや藻などの生物の死骸で、これらが化石化し長い年月をかけて地熱と地圧の影響を受けて石油に変化したとされています。(諸説あり)
原油はそのままじゃ使えない
原油はそのままでは使うことが出来ないので、必ず「精製」という工程を経て姿かたちを変えて私たちの元へ届きます。この精製された原油のことを石油と言います。東京タワーほどの大きさのタンカーで原油のまま諸外国から輸入しそれを国内で精製をします。
オイルマネーという言葉もあり、原油はそのほとんどが中東で生産されているようなイメージが強いですが、実はこれは間違いです。
2019年のデータになりますが、シェールオイルの開発が進んだ影響もあり、国単体ではアメリカが最大の産油国になります。(※)ただし石油統計によると、日本に輸入されてくる原油の産油国の9割近くは中東の国々になります。その他にアメリカやロシアなどが挙げられます。
日本は中東を始めとしたこれらの諸外国から輸入してきた原油を、精油所へ送り蒸留や分解をして、ガソリンや灯油・軽油などの石油製品へと精製を行っております。ポイントは、原油からガソリンだけ・軽油だけを精製するということは出来ません。原油を1とした時に、油種べつに得られる率が決まっています。これを石油製品の得率と言います。
意外と身近にある原油
原油(石油)から燃料が精製されるのは前章でも見てもらいました。これらを総称して石油製品と言います。そしてもう1種類、石油製品のなかの「ナフサ」を原料として作られる製品に石油化学製品というものがあります。以下にあげるような製品がそれにあたり、原油が私たちの生活に密接していることがうかがえます。
プラスチック
電気製品・フィルム・文具など
合成繊維原料
シャツ・セーター・テント・毛布など
合成ゴム
タイヤや靴など
塗料
インク・ペンキなど
合成洗剤原料
洗剤・シャンプー・化粧品など
その他
医薬品・肥料・接着剤・アスファルト(道路)など
マイナス価格ってどういうこと?
4月20日に一時1バレル(原油の取引の単位。昔は樽に入れて原油を取引していたことから、樽(barrel)という単位が使われている)マイナス40ドル32セントをつけました。その日はマイナス価格のまま取引を終え、原油先物価格がマイナスとなるのは初めてだそうです。
それでは、原油価格がマイナスということは、どういうことなのでしょうか。
マイナス価格は、原油の売り手が買い手に対し、代金を支払った上で原油を引き渡すことを意味しています。背景には新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に景気が鈍化し、原油需要が大幅に減少したことがあります。
引用元:原油先物マイナス価格の意味|幻冬舎GOLD ONLINE|【市川雅浩・シニア ストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント【第116回】
もう「お金あげるから引き取って」という夢のような状態だったようです。まぁ実際お金を受けとって原油を引き取っても、精製もされてないので使い道も全くないので困るんですけどね。とはいえ、この原油価格のマイナスは中東の国々やアメリカ・ロシアなどの産油国に大きな衝撃を与えました。
これにより、産油国は原油の減産(採掘する量を減らす)という形で対応するそうですが、今後の先行きは依然不透明なままです。
原油価格が我々の生活に与える影響
最後に原油価格が我々の生活にどういう影響を与えるかを、確認しておきたいと思います。原油の価格が下がると、軽油・ガソリンなどの燃料の価格が連動して下がるというイメージがあると思いますが、今回は次の疑問が浮かびます。
原油価格が暴落し一時はマイナスまで下がったのに、燃料の価格に暴落分が折り込まれてない気がする…
上図はここ1年間の軽油の全国平均価格の推移です。ちなみにガソリンでも同じようなグラフを描いています。確かにコロナ・ショック後に十分下がったと言えますが、価格の下落幅は20円ほどで暴落とまではいっていません。
これは、軽油やガソリンの価格は税金が占める部分が大きいので、ガソリンスタンドではそれほど安く販売出来ない、というところにあります。それぞれの販売価格のうち軽油ではおよそ35円、ガソリンでは55円が税金(※)にあたります。
※軽油引取税・ガソリン税と石油税の合計
そしてもう一つの理由が、先ほど学んだ石油製品の得率です。原油1のうち、およその比率として軽油になるのは20%、ガソリンになるのは25%、と割合が決まっています。この得率が元になり原油から燃料を精製し、その中から石油会社は利益を出さないといけないので、原油の価格の暴落に合わせてダイレクトに燃料価格に反映されないという訳です。
今回の記事で、みなさまの原油について知識が深まっていたら幸いです。私も調べる過程で色々と知らなかったことがあり、とても勉強になりました。タイガーブログではこういった読み物記事もたまには書こうと思います。今回の記事を面白いと思ったらタイガーブログをブックマークしたり、メールマガジンの「とらマガ」への登録をしていただけると嬉しいです。
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