• コラム

知らないと乗り遅れるMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)

タイガーブログをご覧のみなさま、こんにちは。販売促進部の川井です。今日は【MaaS】について書いていこうと思います。最近そこかしこに英語の略語のサービスが蔓延してますよね。このMaaSも何かの略語なのではないかと想像はつくんですが、まぁよくわからないですよね。そんな良くわからないMaaSをわかってしまおう!というのが今回の記事の趣旨です。

 

さて【MaaS】って何かご存知ですか?

 

MaaS……マース?

 

これらを思い浮かべた方、残念ながら両方ともマスです。

MaaSは「モビリティ(M) アズ(as) ア(a) サービス(S)」の略語になっており、訳すと「サービスとしての交通手段」というような意味合いとなります。移動の未来を担うと言われているMaaSについて学んでいきましょう。

 


MaaSっていったい何?

では、まずMaaSとは何者かというところから見ていきましょう。旅行を例に出すとわかりやすいので、下記の画像をご覧ください。

旅行に行く時って今ではホテルと飛行機がパックになっていたりしますが、現地でタクシーに乗ったりバスに乗ったり、という移動にかかるお金はその都度個別に支払いをすると思います。

 

 

 

 

MaaSの考え方は、その移動にかかる費用を全てひとまとめにしてしまおう、というものです。そして支払いをひとまとめにする以外にも、同一の目的地に向かう人同士のタクシーの相乗りや、カーシェアリングなどを採用して交通渋滞などを緩和する、これらのサービスを活用して高齢者向けの交通インフラが弱い地域の改善に役立てよう、などなど。移動に関する車両(飛行機・船など様々な手段を含む)やそれらを活用するアプリ・ソフトウェアがシステムにつながり、最適な移動サービスが提供される、これら全体を総称してMaaSと呼びます。

 

なんだかよくわからないけど、凄そう

 

とりあえずこの章までの理解はこのぐらいで良いと思います。ではこのMaaS、海外では既にサービスとして提供されている国もあるので、その事例を見てより理解を深めていきましょう。

 


海外でのMaaS

海外でもっともMaaSが普及している国のうちの1つとして挙げられるのがフィンランドです。フィンランドでは2016年に実証実験を行ったのち正式にMaaSのサービスが開始されています。利用者は「Whim(ウィム)」というアプリを用いて、公共交通機関やタクシー、シェアバイク等のあらゆる交通手段を移動の選択肢に入れることが出来るのです。

そして、ユーザーはこのWhimを使って予約から決済まで一括で行えるほか、電車やタクシー・バスなどスマホアプリを提示するだけで利用をすることが可能となっています。では、このWhimについて少し見て見ましょう。

Whimは利用者がいくつかのモデルを選択でき、都度利用料を払うベーシックなものと、月額利用料を払って乗り放題になるモデルがあります。月額49ユーロのモデルでは公共交通機関は無制限に乗ることができ、5kmまでは10ユーロでタクシー、49ユーロでレンタカー(1日)、30分以内のシティバイクを無料で乗り放題となります。さらに月額499ユーロのモデルではレンタカーと5kmまでのタクシーが無料となるそうです。さすがにこちらは利用者が少ないらしいですが、月額49ユーロのモデルは通勤手当の代わりに会社から支給するケースも多そうです。

このWhimを始めとしたMaaSにとって欠かせないのが、企業と省庁・学会などあらゆる分野が協力をすることです。実際にWhimにてMaaSを実現したフィンランドでもそれらが連携をしています。

このようなフィンランドの取組みを支援しているのは、産官学コンソーシアムであるITSフィンランドと、フィンランド運輸通信省です。ITSフィンランドは主要大学、タクシー協会、民間企業など100以上の団体・組織が参画し、MaaSに不可欠なオープンデータとオープンAPIのプラットフォーム開発・整備を担っており、それまで個別に点在していた移動に関する情報検索、決済等のサービスの統合を進めています。

次世代の交通 MaaS|総務省より引用

 

もう一つ、面白い事例を紹介しましょう。シンガポールでの事例です。

シンガポールではCOE(Certificate of Entitlement)という自動車を所有するための証明書を入札形式で取得する必要があります。これは日本で言う自動車取得税に近いものなのですが、車のクラスによって国内を走る車の総台数がそれぞれ決まっており、COEを取得するために購入希望者同士で競りを行って入札するという仕組みです。

この仕組みにより、自動車の取得には小型車でも600万円ほどの費用がかかってしまうため、自動車を保有することが富裕層のステータスとなっているそうです。

公共交通機関やタクシー、ライドシェアは市民の足になっており、タクシーはスマートフォンのアプリで呼ぶことが出来る他、ライドシェアに関しても参入してきた事業者が競争をしているような状況にあります。

シンガポール政府がアプリケーションを提供し、様々な交通機関を駆使した最適な経路を検索できる環境を構築しております。これが支払いなども行えるようになることによって、MaaSによる交通最適化が実現できるようになると思われます。

参考元(一部抜粋):
MaaSで生活はどう変わる?MaaS先進国シンガポールに日本の未来を見る|GAZOO

 


日本でのMaaS

残念ながら日本ではまだMaaSのサービスが提供されていません。国土交通省が公共交通のオープンデータ化を推進する検討会を設置しているほか、民間企業ではJR東日本や小田急、トヨタとソフトバンクの合弁会社等が、それぞれMaaSに関する研究や実証実験を始めています。

ここで一つ懸念点が浮かぶのですが、先に紹介したフィンランドの成功事例をもとにMaaSを考えると、国や企業や地域が一丸となってMaaSを構築していかないと、良いサービスを提供するのが難しいというところにあります。

日本におけるMaaSの第一人者、MaaS Tech Japanの日高氏はインタビューで以下のように答えています。

MaaS時代が到来したときの企業の本音は、おそらくみんな「プラットフォーマーになりたい」でしょう。想定される予想図としては「どこか1社がひとり勝ち」「交通事業者が連合を組む」「誰でも市場参入できる」のいずれかです。

理想をいえば3番目「誰でも市場参入できる」——すなわち、みんなオープンに参加できるエコシステムをつくることなのですが、そのためのガイドラインが日本には整備されていません。

これがないと資金力のある企業が市場を席巻し、結局は「1社ひとり勝ち」の状態を引き起こしてしまいます。

「MaaS経済圏」の誕生。都市のコントローラーは誰の手に?【後編】|FUTURE STRIDE

 

東京ではA社のMaaS、大阪ではB社のMaaSという風な住み分けが出来てしまっては、それはもはやMaaSではなくなってしまいます。世界的に見ても日本はMaaSの取り組みが遅れていると評されていますが、今現在のバラバラになっている活動が1つに集約されより大きな流れとなることで、サービスが完成形になることに期待をしております。

 


MaaSがもたらす未来

最後に、MaaSによって交通が発展した世界を想像してみましょう。

自動運転バスやライドシェア・カーシェア等により、交通機関の乗車待ち時間が圧倒的に減ります。移動が効率化されることによって、都市部を中心に渋滞が減少、よりスムーズな人と物の行き来が実現されることになりそうです。

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