• コラム

運送業が挑むDX

近頃、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を耳や目にする機会が多いのではないでしょうか。「我が社もDXするか」と考えている企業様も少なくはないでしょう。また、新しく始めてみたことが実はDX(の第一歩)だったなんていうケースもあると思います。

タイガーもDXに試行錯誤の段階ではありますが取り組んでおります。その過程から運送業が取り組むべきDXについても考えて見ました。なお、本記事は筆者の視点が混じっていますので予めご了承ください。

 

 

DXとは何か

DXは英語で書くと「Digital Transformation」となります。「おいおいそれなら、DXじゃなくてDTじゃないか」と思われる方もいるかもしれません。
英語圏では「Trans(横切る、交差する)」を「X」で表記するのが一般的なため、DTじゃなくてDXという訳です。

次にDXの意味ですが「デジタルによる変革」というように訳せます。さしずめ、DXとはデジタル技術やデータを使ってより良いものへと変革していきましょうということです。次の章でさらにDXに迫っていきます。

 

DXとIT化は違う

DXには至っていないがIT化は進んでいる、という企業も多いのではないでしょうか。DXとIT化の違いは

  • アナログだったものをデジタルに変えるのがIT化
  • IT化して集まるようになったデータを活用するのがDX

このように捉えてもらっても大筋で間違いはないと思います。他にもIT化がそのままDXに直結するようなツールも市場にはあります。

経済産業省では、DX(デジタルトランスフォーメーション)について次のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン|経産省 より抜粋

DXを用いて何を達成するべきなのか、これは企業によって目的地点が違うと思います。弊社でもDXに取り組んでいる際中なので、一例としてご紹介します。

 

タイガーが取り組むDX

弊社はTwitterにてタイガー公式アカウント(@tiger_1940)を昨年開設しました。広報活動の一環として始めたのですが、前述の例に当てはめると公式アカウントを開設したこと自体は「広報のIT化」に過ぎません。しかし弊社ではTwitter運用をしていることをDXの第一歩である、と考えています。それは使う上で次のことを心がけているからです。

どう言った投稿に反響があるか分析

下記の表は、タイガーのアカウントの今年2月のTwitter投稿を分析する際に使用したものです。各項目においてこの月の平均値を上回る部分を赤く塗りつぶしています。まず見出し(一番上)の行の用語だけ簡単に説明します。

  • インプレッション…その投稿が見られた数
  • エンゲージメント…その投稿がクリックされた数
  • エンゲージメント率…インプレッション数に対して、投稿がクリックされた数の割合
  • いいね…いいねされた数
  • ユーザープロフィールクリック…その投稿でユーザーのプロフィールがクリックされた数

表の作成に手間がかかってそうだと思われるかもしれませんが、やっていることは次の2つです。

①Tweetアナリティクスという公式のサービスを利用して一か月分の投稿ごとのデータを取得。
②エクセルの条件付き書式の機能で各項目の平均以上の部分に色をつける。

たったこれだけです。一か月分の表を作成するのにかかっている時間は【10分】程度です。

最も時間をかけている部分は分析になります。上の図で言うと「2021-02-25」の投稿の反響が良いです。半面、一つ下の「2021-02-24」は全ての項目で平均以下。ダメな投稿と言えます。この結果が示すものを考えていきます。

見ているポイントは【投稿した時間】【ハッシュタグは何を使っていたのか】【ハッシュタグ自体の人気】【投稿に画像がついていたのか】etc...

他にもありますがこれくらいにしておきます。このように、良い投稿とダメだった投稿の差分をひたすら探していきます。

そして、そこから得られた気づきを知識として運用・共有していく為にエクセルにメモとして残しています。Twitterを単に投稿するだけに使っていたら、気付かないことも色々あったと思います。しかし、こうして分析をすることで広報活動の効率や質を高めていくことが出来ている、これはまさにDXの第一歩であると考えています。

こうして見るとDXって意外と地味なのか、と思われた方もいるでしょう。これだけだとそう思います。なので、人に見せるものを作る際には、上で作ったエクセルのファイルをマイクロソフト社のPowerBIというツールに取り込んで、下のようなグラフを作成しています。(上で紹介しているエクセルをそのまま取り込んだものです)

ちなみに本章で紹介した『Tweetアナリティクス』『PowerBI』は無料で使うことができます。詳しくは各キーワードで検索してみてください。

 

始めてみてわかったDXに取り組む段階での課題

さきほど紹介した経済産業省が考えるDXでは『ビジネスモデルを変革する』とあります。自社の場合で考えるとタイガーのビジネスモデルは経営理念にもある『運輸・物流企業様に物流ソリューションエキスパートとして貢献すること』と言えます。

先の『ビジネスモデルを変革』という言葉を先に歩かせたDXとなると、何から手を付けていいのかわかりません。となると、既存の業務から変革をしていき、ゆくゆくは大きな波としてDXを達成していく、というのが現実的な道筋であると考えます。しかし、ここでやはり課題が見えてきます。

DXは何から始めればいいのか

既存の業務を改革する、とは聞こえはいいです。しかし読者の方でも、DXという観点で業務改革の具体案がパッと思いつく方は少ないのではないでしょうか。タイガーも例に漏れませんでした。そして何が出来たらDX達成、という線引きも存在しません。良くわからないものに、会社としてコストがかけられないことも現実問題としてあります。

そこでDXの第一歩として数字で結果が見える施策を行うことにしました。理由は、理屈や思考ではなく数字の増減で効果が見えれば、良し悪しの判断がしやすいと考えたからです。そして既にあるデータから始める分にはコストもかかりません。ですが、次の問題が浮かび上がりました。

分析に使うデータがない

社内には、システムや帳票など様々なデータがあることと思います。紙媒体のものだとそもそも分析に使いづらいのでデータ化する必要があります。またエクセル上にはあるものの、分析可能な状態でデータになっていない、そもそもデータとして集計されていない等、様々な問題が発生します。まずは「データを集めること」からスタートしないといけない場合は往々にしてあり得ます。

扱うべきデータが繋がっていない

さらに次の問題として社内には色々な数字を扱っているデータがありますが横のつながりがなく、〇〇が10%良くなったから、××が5%増えたと結論づけれるような、串刺しで集計している表がありませんでした。このデータはあっちを見て、こっちのデータはこのシステムを見て、とやっていると見えるものも見えにくくなってしまいます。

抽象的な話をしてきたので、ここで1つ例をあげます。
①その月の売上
②その月のHPのアクセス数
一件、関係のなさそうな2つのデータです。
例えば、HPの訪問者の1%が問い合わせをしていたとします。そして問い合わせの10%が受注に繋がっているとします。そうすると【HPのアクセス数が多い月は売上が多い】という仮説が立ちます。

「売上」と「HPのアクセス」という一見関係のなさそうな数字が、相関関係にある可能性が見えてきます。社内にあるデータにはこうした『隠れた相関関係』を持っているデータがあると思います。実際にこれらのデータは【関係がない】と思われているので、同じファイルに記録・管理されていることはありません。

このように既にあるデータを繋げる、これがDXの第一歩になると考えています。HPのアクセス数は当月ではなく次月の売上に影響していく、〇〇という施策は効果が薄い、等々始めてみてデータを集めないとわからないことが多くあります。

 

運送業が挑むDX

運送業の主たる業務は「物を運ぶこと」及びそれに付随する「保管」や「荷役」だと思います。現在は人が担うしかない業務になり、その中の一部分を切り取ったIT化を行うことは出来るかもしれません。しかしDXと呼べるような劇的な変化をする改革はまだ未来の話でしょう。

そうなると、すぐに取り組むことが出来ることは選択肢が限られてきます。まず、社内にあるデータや情報を活用したDXを目指すことが第一歩として丁度良いのではないでしょうか。

ただ闇雲にデータを漁り1つの帳票にまとめて分析する、というのは得策ではありません。会社にとっての痛みを解決することを目的としておかないと、データをどのように取り扱うべきかが見えてこないからです。

ノーコストで始めるDX

「運送業 DX」というようなキーワードでグーグル検索をすると、AIやRPAの活用などで上記で挙げたような主たる業務に対するDXへの提案が見受けられます。これらはDXとして有効だと思うのですが、どうしてもコストがかかることもありすぐに始められるようなものではありません。

まずはDXに向かう第一歩として、ITを活用した細かな成功体験を得ることにより、DXに取り組みやすい環境を社内で醸成していくのはいかがでしょうか。

そこで今回は運送業における求人、という観点でそのロードマップをご紹介しようと思います。

https://www.sbbit.jp/article/cont1/53239

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